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2007年11月20日

花の回廊(宮本輝)


父や母に会いたいと泣いてばかりいたので、富山から大阪に戻ることになった伸仁だが、両親と一緒に暮らすことはまだできなかった。父熊吾の妹タネに預けられた伸仁は、そこでさまざまな人たちと出会う。一方熊吾や房江は、一日も早く家族3人が暮らせるよう努力をするのだが・・・。「流転の海」シリーズ第5部。

待ちに待った第5部。この作品では、熊吾は無一文だ。房江は毎日いやな思いをしながら小料理屋で働いている。熊吾の妹タネに預けられた伸仁は、そこに暮らす人たちの貧しさを肌で感じている。貧しさは同じでも、生きていく方法は人さまざまだ。そういう人たちを見ながら生活する伸仁は、たくましくそして心の優しい少年になっていく。彼の成長を読み続けられるのはとてもうれしい。一方で、熊吾の事業はどうなるのか?伸仁をとり巻く人たちのこれからは?気がかりなこともたくさんある。第5部の終わり方は消化不良という感じだ。この続きを当分読めないのはとても残念だし、体に悪い(笑)。作者に、できるだけ早く第6部を書き上げてくれるように頼みたい。

ゆこりん : 17:08 | 作者別・・みやもとてる