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2007年10月23日

八日目の蝉(角田光代)


不倫相手の家に忍び込み、生後6ヶ月の赤ん坊を連れ去った希和子。自分の子供が生まれていればつけるはずだった「薫」という名前をその子につけ、二人で生きる決心をする。何も知らずに育った薫だったが、やがて自分の本当の名前を知る日が・・・。

子は親を選べない。育つ環境も選べない。与えられたものの中で生きるということが子供にどんな影響を及ぼすのか、考えるとぞっとする。本当の両親のもとから連れ去られ、「薫」として育てられた恵理菜。希和子との生活は、本当の母と娘の生活のようだった。それに比べると、実の父母や妹とのギクシャクした関係は、恵理菜には耐えられないもとなる。彼女の心につけられた傷の深さは計り知れない。大人の身勝手な行動が引き起こした悲劇。「八日目の蝉」のタイトルの意味が見えたとき、とても切ない気持ちになった。これからの恵理菜の人生が、幸せなものでありますように・・・。

ゆこりん : 19:45 | コメント (2) | 作者別・・かくたみつよ


コメント

こんにちは(^o^)
私も昨日、読み終えました。
果たして誰に育てられることがあの子にとって
本当に幸せだったのでしょうねぇ。
都合のよすぎる展開ではあるものの、
希和子のためにサスペンスではなく、
親子の物語としては読んであげたい作品でした。

投稿者 ともみ : 2007年11月 7日 11:16

>ともみさん
こんにちは(*^▽^*)

>希和子のためにサスペンスではなく、
>親子の物語としては読んであげたい作品でした。

同感です。子供にとって何がよかったのか?
考えると複雑な気持ちになります。
恵理菜のこれからの人生が幸せであることを
願います。それでなきゃ、救われないですよね。


投稿者 ゆこりん Author Profile Page : 2007年11月 7日 14:17