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2007年10月22日

朗読者(ベルンハルト・シュリンク)


15歳の少年ミヒャエルが知り合い恋に落ちたのは、親子ほど年の違う女性ハンナだった。「何か朗読してよ。」愛し合う一方で、ハンナはいつもミヒャエルに朗読をせがんだ。その後ハンナは突然失踪する。二人の再会は思わぬ形でやってきた・・・。

なぜハンナはあんなにもミヒャエルに朗読をせがんだのか?法廷という思わぬところで再会したアンナが、なぜもっと自分を弁護しようとしなかったのか?この作品のタイトル「朗読者」に込められた作者の思いが、ずしりと読み手の心にのしかかる。また、ラストにハンナが取った行動は衝撃的なもので、深く印象に残った。二人の関係にナチス時代の問題を絡め、作品は読み応えのあるものに仕上がっているのだが、36歳の女性が15歳の少年を誘惑するという部分にはすごく抵抗を感じた。少年の未来にどんな悪影響を及ぼすのかも考えないで、自分の欲求を押しつけた彼女の身勝手さが許せない。

ゆこりん : 17:00 | 作者別・・へ