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2007年10月21日

向かい風(住井すゑ)


夫の戦死の公報を受け取ったゆみは、暇をもらいたいと義父の庄三に申し出る。だが、ひとり息子を失い家の絶えることを恐れた庄三は、ゆみに自分の子供を生んでくれるよう懇願する。ゆみが母親となってしばらくたった頃、戦死したはずの夫から手紙が!!戦後の混乱の時代を力強く生きた女性の物語。

夫が戦死したあとに、夫の兄弟と再婚させられたりする話は珍しくなかったという。それは個人より「家」が尊重されたことに他ならない。この作品のゆみも、夫の「家」を守るための犠牲になったような気がする。「家」とはそんなに大切なものなのか?北海道に生まれ育った私にはピンとこないところもある。北海道は移住者が多い。だから家の歴史が浅く、昔からの伝統というものがあまりない。そのせいだろうか?今でも「家」を守るという考えがあると聞くが、時代錯誤的な考えに思える。
ゆみは単なる跡継ぎを生む道具だったのか?だが決して悲観的にならないゆみの強さに、未来への希望が見える気がした。

ゆこりん : 15:34 | 作者別・・す