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2007年10月15日

天璋院篤姫(宮尾登美子)


島津忠剛(今和泉家)の娘として生まれ、後に島津斉彬の養子となり、さらには近衛家の養子となり、第13代将軍徳川家定に嫁いだ篤姫。その波乱に満ちた生涯を描いた作品。

薩摩から、誰一人頼る者もない江戸へ。徳川家定に嫁いだ篤姫の生涯は幸せとは言い難いものだったと思う。だが、幕末から明治への大きなうねりの中、おのれを見失わず信念を貫いて生き抜いた篤姫の生き様は、読み手に大きな感動を与えずにはいられない。激動の時代、歴史の波に翻弄されたのは男性ばかりではない。その陰でどれだけ多くの女性たちが犠牲を払い、涙を流してきたことか。そのことも決して忘れてはならないと思う。もし篤姫と和宮の出会いがもっと別な形のものであったのなら・・・。身分や立場という壁が二人を隔ててしまったことが、とても哀しい。

ゆこりん : 16:26 | 作者別・・み他