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2007年9月 5日

人柱はミイラと出会う(石持浅海)


土木工事の安全を願って行われる現代の人柱の儀式。工事が終わり地上へ出られる帰還式の日、部屋にいるはずの曽根の姿が消えていた。そこには寝袋に入ったミイラが・・・。表題作を含む7編を収録。

発想がユニークだった。人柱、お歯黒、厄年、参勤交代など、今ではもう見られなくなったり聞かれなくなったりする事柄を、現代社会に鮮やかに蘇らせている。読んでいて、「実際にあってもいいかも♪」と思うほどすんなりと受け入れられるのが不思議だ。昔の人はいろいろな物や事柄をとても大切に思い生活してきたのだと、あらためて感じた。ミステリーとだけ捉えて読むのではなく、ミステリーと日本の伝統的な風習の両方を味わいながら読もうとするほうが、より楽しめるのではないだろうか。

ゆこりん : 16:18 | 作者別・・い他