« 抹殺(東直己) | メイン | サイン会はいかが?(大崎梢) »
2007年8月17日
ジェネラル・ルージュの凱旋(海堂尊)
救命救急センター部長速水の不正を告発する怪文書が、不定愁訴外来の万年講師田口に届いた。彼は病院長高階と相談し、この件をエシックス・コミティで諮ろうとするのだが・・・。おなじみ田口・白鳥シリーズ。
病院内での人それぞれの思惑や利害関係も絡んで、速水をめぐる一連の事態は思わぬ方向に動こうとする。しかし、そこに敢然と立ちはだかるのは、おなじみ田口・白鳥コンビだ。エシックスの田沼をやり込めるシーンは、読んでいてスカッとする。告発文はいったい誰が書いたのか?真実の陰にある問題点は、決して小説の世界だけのことではない。現実にも、病院が抱える問題だ。患者の命、病院の利益、いったいどちらを優先させるのか?この作品は、面白さだけではなく、重い問題も含んでいる。田口、白鳥のほかにも、ドジな看護師姫宮、ユニークな存在の猫田師長、妖怪・化け狸と称される高階院長など、魅力的な人物がたくさん登場する。さて、次回はどんな難事件が待っているのか?期待しながら待つことにしよう。
ゆこりん : 18:03 | 作者別・・かいどうたける