« ハルさん(藤野恵美) | メイン | 照柿(高村薫) »

2007年6月14日

凍れるいのち(川嶋康男)


1962年(昭和37年)1月1日、北海道学芸大学函館分校山岳部の11人のうち10人が大雪山で遭難、そして死亡した。たった一人生き残ったのはリーダーだった野呂幸司。45年の沈黙を破り、彼が語った真実とは?

野呂の生い立ち、山登りをするようになったきっかけ、遭難、その後の人生・・・。真実の重みがずしっと伝わってくる。とくに遭難の描写は言葉がない。凄まじいの一言に尽きる。冬山の恐ろしさをいやというほど思い知らされる。一人また一人と雪の中で力尽きていく仲間たちを目の前にした野呂の心境は、いったいどれほどの苦痛を伴ったものだったのだろう?リーダーなのに一人生き残ってしまった野呂を責める遺族もいた。「死んでいった10人の分まで生きなくては!」そう決意する野呂。それは、24歳の若者が背負うにはあまりにも大きくて重いものだった。だが彼はくじけなかった。凍傷により身障者となった彼のその後の人生は、読む人に勇気を与えてくれる。読後も、心に深く余韻が残る作品だった。

ゆこりん : 17:03 | コメント (2) | 作者別・・か他


コメント

この度、OB情報として「凍れるいのち」の本をホームページに紹介しました。

その関連記事としてこのホームページをリンクさせていただきましたので、お知らせいたします。

よろしくお願いします。

投稿者 函館東高資料集管理人 : 2007年8月 1日 14:38

>函館東高資料集管理人様
旅行に出かけていて、返事がすっかり遅くなり
申し訳ありませんでした。
私の拙い感想をリンクしていただき、本当に
ありがとうございました。
野呂さんの生き様は、いろいろなことを考え
させてくれました。感動的な本でした。

投稿者 ゆこりん Author Profile Page : 2007年8月 8日 16:02