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2007年5月13日

漂流(吉村昭)


土佐の国の長平ら4人の乗った船が嵐により遭難。やっとの思いでたどりついた島は、船も通らぬ日本本土からはるか彼方の無人島だった。そこで長平たちを待ち受けていたのは・・・。

壮絶な戦いだった。無人島での生活は過酷を極める。飲料水や食べ物の確保は一番切実な問題だ。長平たちは知恵を絞り、さまざまな問題を解決していく。島での暮らしが落ち着いてくればくるほど、次に彼らを苦しめるのは望郷の念だ。島を脱出する方法はどうやっても見つからなかった。だが、極限まで追い詰められても、長平は決して希望を捨てなかった。「生き抜く。そして日本に帰る!」その不屈の精神には鬼気迫るものがある。どんなときでも前へ進むことをやめなかった彼らが最後につかんだものは・・・。読み始めてからラストまで、一気だった。「あきらめないで信念を貫けば、いつか道は開ける。」そう強く感じさせる作品だった。オススメです。

ゆこりん : 15:49 | 作者別・・よしむらあきら