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2007年5月11日

レキシントンの幽霊(村上春樹)


知り合った男の家は、レキシントンにある古い大きな家だった。あるとき留守番を頼まれた「僕」が、その家で真夜中に体験したできごととは?表題作を含む7編を収録。

どれも不思議な雰囲気を持った話だった。読めば読むほど味わいがあるが、同時に得体の知れない怖さも感じる。読んでいると、深い闇の底を覗き込んだときのような不安や恐れが迫ってくる。どの話も面白いと思ったが、一番印象に残ったのは「沈黙」だった。人の悪意ほど恐ろしいものはない。一人の人間の悪意が多くの人たちを動かしていく。そしてその悪意が特定の人間に向けられたとき、悲劇が始まる。決して物語の世界だけのできごとではない。いつ自分の身に起こるか分からないできごとなのだ。最後に大沢が語る言葉が切実に胸に迫った。本当に怖いものは、すぐ身近にあるのだ。

ゆこりん : 16:18 | コメント (4) | トラックバック (1) | 作者別・・むらかみはるき

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トラックバック時刻: 2007年5月11日 22:21


コメント

ゆこりんさん☆こんばんは
>怖いものは、すぐ身近にあるのだ。
自分の身近なことって、つい油断してしまうのですが、
一番怖いのは自分自身なのかもしれないと思うのです。

投稿者 Roko : 2007年5月11日 23:21

>Rokoさん
こんにちは。
自分自身が一番怖い・・・。
まさにそのとおりかもしれません。
あまりに身近すぎて気づいてないだけなんですね。
村上さん、こういうのを書かせたら抜群に
うまいですよね。読んでいてぞくぞくするほど
魅力を感じました。

投稿者 ゆこりん Author Profile Page : 2007年5月12日 15:14

高校の授業で『レキシントンの幽霊』を学びました。
奥深い・・・と言うよりも『強烈』でした。
『感動』よりも淡い『怖さ』が・・・(なんと言うか)・・・
自分の創作意欲を掻き立てました!(笑)文芸部なので(笑)

投稿者 ☆高梨c☆ : 2007年5月13日 19:06

>☆高梨c☆さん
こんにちは。
村上さんの作品はどれも強烈です。
でも、そこにすごい魅力を感じます。
行間からにじみ出るものを感じ取ろうと、必死に
もがきながら読んでいます。
一番好きなのはやっぱり「海辺のカフカ」かな?
積読本の「ノルウェイの森」読まなくちゃ(^^;

投稿者 ゆこりん Author Profile Page : 2007年5月14日 13:18