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2007年4月16日

赤朽葉家の伝説(桜庭一樹)


”辺境の人”においていかれた万葉には、未来が視えるという不思議な力があった。そのひろわれっ子の万葉が、旧家の赤朽葉家に嫁ぐことになったのだが・・・。万葉、毛毬、瞳子、三代の女性たちの生きざまを、鮮やかに描いた作品。

未来が視えるという万葉の不思議な力。その力は、製鉄業を営む赤朽葉家を窮地から救ったこともある。しかし、自分にとって大切な人たちの未来を視てしまうこともある。未来を知ってしまっても変えることはできない。ただ運命に向かって突き進む人たちを見守ることしかできない万葉の姿は、胸を打つ。また、時代が大きく変わる中、流されることなく己の信念を貫き通した万葉の娘毛毬の生きざまはすさまじい。生きるということは、こんなにも激しいことなのか。ラストの毛毬の娘瞳子の万葉への思いには、ほろりとくるものがあった。赤朽葉家に関わる人々が織りなす物語も、切なくてほろ苦い。これから、瞳子そして私たちが生きる未来はどうなっていくのだろう?自分自身の人生についても、考えさせられるものがあった。

ゆこりん : 17:48 | コメント (10) | トラックバック (3) | 作者別・・さ他

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トラックバック時刻: 2007年8月14日 21:43


コメント

ゆこりんさん、こんにちは。りょーちと申します。
桜庭一樹さんをこの本で知り「結構凄いな、この人」と感動しました。3世代にわたる赤朽葉家と時代を共に生きてきたような不思議な読後感でした。
一見「SFなのかな?」と思ったのですが、SF的な要素が押えられていた部分もかなりよろしかったです。

ではでは。

投稿者 りょーち : 2007年4月18日 19:05

>りょーちさん
こんばんは~♪ごぶさたしています。
私も桜庭さんの作品はこれが初めてでした。
あちこちで評判になっていたので、読んでみたんです。
3世代の話に引き込まれました。
私自身が生きてきた時代とだぶっているので、共感を
覚えるところもありました。
万葉の未来を視る力・・・。本人にとっては残酷な
力でしたね。

投稿者 ゆこりん Author Profile Page : 2007年4月18日 20:46

こんばんはー
つい先日、桜庭さんの講演会に行ってきましたリベです。
この小説で特に強いインパクトが残った第二章には桜庭さんが書ききれなかった部分があるそうです。それをいつか「スピンオフ」作品として世に出したいとおっしゃっていました。
この強烈な第二章の後の第三章が弱くなるのは仕方がないけど、あの終わり方(オチ)はもう一つのように思ってしまいましたが、ほぼ完璧に思えました。

投稿者 りべ Author Profile Page : 2007年4月22日 21:35

>リベさん
こんにちは~♪
桜庭さんを実際に見たんですか!!w( ̄▽ ̄;)wワオッ!!
この作品、やはり私にとっても第2章は強烈でした。
毛毬の生き様には圧倒されます。
でも・・・桜庭さんはまだ書ききれていなかったんですね。
どんな作品として生まれるのか、楽しみです~(*^▽^*)

投稿者 ゆこりん Author Profile Page : 2007年4月23日 17:57

こんにちは^^カキコありがとうございました。
本当に濃い作品でしたね~
怒涛って言葉が似合うのは毛毬の人生ですが、私は万葉の生涯が印象的でした。
見たくないものまで見えてしまう人生って、辛いですよね。

投稿者 苗坊 : 2007年5月 5日 16:10

>苗坊さん
( ^-^)ノ(* ^-^)ノこんばんわぁ♪
ネタバレになるから書けないけれど、万葉が見て
しまったものはすごく残酷です。いちばんつらい
ことですよね。未来なんか見えないほうが幸せです。
長いけれど、最後まで読み手を飽きさせない魅力ある
作品でした。

投稿者 ゆこりん Author Profile Page : 2007年5月 5日 22:53

こんにちは!
8月になってから、暑い日が続いているので、まいっています。
元気にしていますか。
さて、この本、読み応えのある作品でしたね。
赤朽葉家や、そのまわりの人たちの生き様が、現代史と共によく描かれていたと思います。

投稿者 : 2007年8月14日 21:53

>花さん
おはようございます。
毎日暑いですね。北海道も暑く、まいっています。
この作品は、本当に読み応えがありました。
万葉や毛毬の人生は、読んでいて圧巻でした。
この作品を読んで、桜庭さんにとても興味が
わきました。もっとほかの作品も読んでみたいです。

投稿者 ゆこりん Author Profile Page : 2007年8月15日 08:50

おはようございます。ゆこりんさん。
それぞれの時代が見事に書き分けられていて、本当に感心されられました。
万葉の時代のあの独特の雰囲気が一番好きでした。
この作家さんは、最近読み始めたのですが、今まで放っておいたのが悔やまれます(苦笑)

投稿者 ゆう : 2007年11月30日 11:54

>ゆうさん
こんにちは~。
万葉の時代もいいですよね。
親子3人のそれぞれの生き方、とてもよかったです。
桜庭さんの作品、私はこれが最初でした。
私ももっと早く読めばよかったと思いました(^^;
ほかの作品も読んでみたいです♪

投稿者 ゆこりん Author Profile Page : 2007年11月30日 15:48