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2007年3月 7日

隠し剣秋風抄(藤沢周平)


藩主のための毒見をしたとき、三村新之丞は毒にあたり失明した。上司である島村藤弥に家名存続を頼みにいった妻の加世は、代償を求められる。それを知った新之丞は「武士の一分」のため、島村に果し合いを申し込むが・・・。「盲目剣谺返し」を含む9編を収録。

藩のため、愛する者のため、そしておのれのプライドのため、人を切るにはそれなりの理由があった。日常の様子からは想像もできぬほどの剣の腕。この作品に登場するのはそういう武士ばかりだ。だが、どんな理由があるにせよ、人を切り殺すことに変わりはない。その悲哀さも含め、人の心の揺れ動くさまを作者はじっくりと描いている。いつの世も、生きることには悩みがある。すっきりしたラストばかりではないけれど、心に余韻を残す作品だった。

ゆこりん : 18:37 | 作者別・・ふじさわしゅうへい