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2006年7月18日
和宮様御留(有吉佐和子)
激動の幕末時代。公武合体政策のため、将軍徳川家茂に嫁ぐことになった皇女和宮。だが、その御婚儀にはさまざまな人間の思惑があった・・・。
時代が大きく変わろうとしていた。公武合体を選択しなければならなくなった徳川幕府。当時、女性は政略の道具として使われる時代だった。自分の意思に関係なく顔も知らぬ相手に嫁がされる和宮。しかも、行き先は京都からはるかに遠い江戸。まだ10代の少女にはどれだけつらいことであっただろう。だが、和宮を愛するものたちはおとなしく徳川幕府に従うことはしなかった。そのことは、一人の少女ふきの運命を変える。彼女も公武合体政策の犠牲者だった。抗うこともできなければ完全に従うこともできなかったふき。その運命の残酷さには涙を誘われた。激動の幕末から明治、時代の波にのみ込まれ翻弄された人たち。歴史というのは時には残酷なものだと感じた。