« 北緯四十三度の神話(浅倉卓弥) | メイン | 激流(柴田よしき) »

2006年3月12日

功名が辻(司馬遼太郎)


織田信長の家中に、出世など望めそうにない山内伊右衛門という武士がいた。彼は、千代という美しい嫁をもらう。伊右衛門と千代が二人三脚で功名をめざし、ついには一国一城のあるじになるまでを描いた作品。

信長、秀吉、家康と、つぎつぎに天下を取る武将が変わる。めまぐるしく移り変わる戦国時代。どの武将につき従うかで、おのれ自身、妻子、家来の運命が変わる。信長の時代から無事に生き残ったのは、徳川家康と山内一豊だけだと言われている。一豊と千代、二人力をあわせて時代の波を乗り切ろうとする姿は感動的だ。時には命を落としそうになるが、それでも必死に生き抜いていく。一豊はどちらかというと平凡な武将だったのかもしれない。その一豊が土佐の国の城主になったとき、何かが変わった。晩年の一豊のやり方に、読む者は違和感を感じるかもしれない。だが、戦国時代を命を賭けて走りぬいてきた彼だから、やむをえないという思いもする。一豊、そして一豊を見守り続けた千代。二人の物語は、これからもずっと語り継がれるに違いない。

ゆこりん : 19:54 | 作者別・・しばりょうたろう