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2006年1月30日

高熱隧道(吉村昭)


昭和の初め、黒部峡谷では黒部第3発電所の電源開発工事が積極的に進められていた。この工事に必要な資材を輸送する軌道トンネルの工事も行われていたが、それは世界隧道工事史上きわめて特異な、そしてきわめて困難な工事だった。

工事をしている場所の岩盤の熱さは160度以上。放水しながらの工事でも、過酷さを極めた。人間が生きられる環境ではない。そんなところで人夫たちは昼夜を問わず働き続ける。転落事故、雪崩事故、ダイナマイトの自然発火による爆発事故などで、次々に犠牲者は増える。黒部第3発電所が完成するまでに犠牲者は300人を越えた。この犠牲者の数だけでも、工事がいかに困難なものであったのかが分かる。読んでいてただただ驚くばかりである。それにしても、自然というのは何と厳しいものか!決して人を寄せつけようとはしない。その自然に戦いを挑んだ人間たち。トンネル貫通が勝利と呼べるのか?素直に喜べない苦さが残った。

ゆこりん : 15:54 | コメント (4) | 作者別・・よしむらあきら


コメント

ゆこりんさん こんにちは
この本読まれたんですね。
すごい内容だったでしょう。
わたしは地熱の凄まじさにも驚いたけど
砲雪崩と言う聞いた事もないような自然の脅威にびっくりしました。
トンネル貫通って言っても結局、軍事目的ではね
人の命の軽さを感じてしまいますね!
吉村さん、「破獄」というのが途中読みです。
今年は読んでアップしたいです。
「漂流」も、よかったですよ!!
あと、「関東大震災」はオススメです。

投稿者 short : 2006年1月30日 17:08

>shortさん
(*゜ー゜)vオハヨ♪
すごい内容でした。砲雪崩には私も絶句。
建物ごと吹き飛ばされるなんて、凄まじいです。
それにしてもすごい犠牲者の数です。
昔にこんなことがあったんですね。
事実だなんて信じられません。
shortさんが教えてくれたものはすべてメモ
しました。ありがとう。
「破獄」は前から読んでみたいと思っている本
なんです(o^-^o)

投稿者 ゆこりん Author Profile Page : 2006年1月31日 09:05

ゆこりんさん、先日はお祝いのメッセージ
ありがとうございました
何才になってもこればかりは嬉しいですね♪
ことしも良いとしになりそうで嬉しいです。

さて、破獄、まだ半分ぐらいなんですけど
(しかも途中で止まってる)
読んだらお送りしますね。
戦時中の監獄の様子が驚きですよ。
まだ先になると思いますが
お待ちくださいませ♪

投稿者 short : 2006年2月 6日 19:57

>shortさん
( ^-^)ノ(* ^-^)ノこんばんわぁ♪
ええ~~!!いいんですか?お借りして。
待ってますね(*^▽^*)
図書館から吉村昭さんの「関東大震災」を
借りてきました。読むのが楽しみです。
((o(^∇^)o))わくわく

投稿者 ゆこりん Author Profile Page : 2006年2月 6日 20:10