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2005年12月 1日

キッドナップ・ツアー(角田光代)


最初は冗談だと思っていた・・・。ハルを誘拐したのは、今は一緒に暮らしていないハルのお父さん。父と娘の奇妙な旅が始まった。

父が娘を誘拐して、別れた妻に要求を突きつける。こう書くと暗い話なのかと思うが、この作品に暗さは感じられない。淡々と親子の旅の様子が描かれている。旅を通してしだいに親子としてのつながりが深まっていくさまは、ほほえましい。ハルの冷静な観察眼に、ちょっとドキッとさせられる部分もあるが。
読み進めていくと、やはり父親がハルを誘拐した動機が気にかかった。娘を誘拐してまでしなければならない要求とは?漠然と、この作品の良し悪しはそこだ!と思っていただけに、ラストは期待はずれ。ちょっとがっかりした。

ゆこりん : 15:23 | 作者別・・かくたみつよ