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2005年6月15日

闇先案内人(大沢在昌)


追う方もプロなら、追われる方もプロ。ひそかに日本国内に入った某国の重要人物をめぐり、それぞれの国や機関の駆け引きが始まった。関東に拠点を置く「逃がし屋」のリーダー葛原は、関西の「逃がし屋」成滝の行方を追うが・・・。

ストーリーの構成、展開は抜群!追う者追われる者、その立場を逆転させながらの攻防は手に汗握る。限られた時間の中で、集められた情報から的確な判断を下し行動する葛原の姿は、読む者を惹きつける。プロとはこういうものなのか!国や組織という強大な力を前にして、はたしてどれだけのことができるのか?スリリングな内容は、最後まで読者をハラハラさせる。身分や立場を超えた男たちの友情も見逃せない。ただ、作品の中から作者の思いが伝わってこない。そのことで、この作品が単なる娯楽作品になってしまっているのが少し残念だった。

ゆこりん : 15:50 | コメント (2) | 作者別・・おおさわありまさ


コメント

>作品の中から作者の思いが伝わってこない

う~ん、作者の思いというかコンセプトという点からいうと

「天使の牙」・・・映画化を意識(ゆこりんさん既読ですね)
「新宿鮫」・・・警察のキャリア制度に対する問題提起
「撃つ薔薇」・・・アンダーカバーの恐ろしさ

いずれにせよハードボイルド路線でエンターテイナー
なおかつストーリーテラーなので心の部分は弱いのかも。
映画のジャンルで行くとアクションものだもんね。
その中でも「撃つ薔薇」は主人公・涼子の心が
痛いくらい伝わるのでこれがおすすめかなあ。

投稿者 ats : 2005年6月15日 22:03

atsさん、こんにちは~(o^-^o)
作品の中に何か、ひとつでもいいから思いが伝わって
くるものがないと、評価が低くなっちゃうんですよね(^^;
ただ面白いだけじゃ物足りない感じがして・・・。
長いけれど、一気読みでした。こういうストーリーを
考えるなんて!!その点はただただ感心してます。
作家いとうのはすごいものだと思います。

投稿者 ゆこリん : 2005年6月16日 14:50