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2005年4月11日

残響(柴田よしき)


暴力団員だった石神と離婚し、ジャズシンガーとしての道を歩む杏子。彼女には人に知られたくない能力があった。「その場所に残された過去の声が聞こえる。」警察はこのことを利用し、解決が困難な事件の真相に迫ろうとするが・・・。連作ミステリー。

石神の杏子に対する暴力がこの能力を引き出したのかもしれない。杏子がこの能力を使おうとするときは、いつも心に痛みが走る。ある場所に、ある人の思いが残っている。それを感じることの出来る能力は、不幸な能力だと思う。知らなくてもいいことまで知ってしまう。だが杏子は強くなっていった。この能力をコントロール出来るようになり、そして最後に聞いた声は・・・。ここから彼女の本当の人生が始まるのだろう。

ゆこりん : 10:59 | 作者別・・しばたよしき