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2005年3月22日

九月が永遠に続けば(沼田まほかる)


離婚した後、一生懸命息子を育ててきた。だがその息子はゴミを捨てに行ったまま戻らなかった。息子にいったい何があったのか?息子文彦の、佐知子が知らなかった面が明るみに出ようとしていた。

息子の失踪により、息子のまったく知らなかった一面を知る。それは母親にとっては残酷なことかもしれない。自分の腕の中にいると思っていたが、実はすでに手の届かないところに息子はいた。失踪をきっかけにさまざまな事が見えてくる。自分の家庭、離婚した夫の新しい家庭。いろいろなものを巻き込んで、物語は思わぬ方向へ・・・。読み手をのめり込ませる力のある作品だと思う。しかし、失踪の理由や、複雑そうに見えて実際にはそれほど複雑ではない人間関係などに、少々不満が残った。ラストにも意外性がほしかった。

ゆこりん : 19:29 | 作者別・・ぬ他