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2005年2月 8日

梅咲きぬ(山本一力)


深川の老舗料亭「江戸屋」。その三代目女将秀弥は、娘の玉枝に四代目女将としての心がまえをひとつひとつ教えていた。その母娘や、深川で暮らす人々の心情を細やかに描いた、心にしみる作品。

自分の娘でも容赦はしない。秀弥は娘の玉枝を厳しくしつけるが、そこには確かな愛情があった。玉枝もそれが分かるから、つらいことにも耐えていく。母と娘の凛とした関係は読んでいて胸を打つ。秀弥や玉枝、そして深川に生まれ育った人たちが助け合い、困難を乗り越えていくさまも感動的だ。
信頼とか、思いやりとか、お金では決して得ることのできないものがそこにはある。自分が困っているときでも他人を助けようとする。そのことが、いつかめぐりめぐって自分を助けることになる。そういう大切なことを、私たちは忘れてしまっているのではないだろうか。作品の中で、いろいろな人たちの口から語られる言葉は、どれも胸にしみてくる。読んだあとも心に強く余韻が残った。一人でも多くの人に読んでもらいたい。

ゆこりん : 14:37 | コメント (6) | トラックバック (5) | 作者別・・やまもといちりき

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トラックバック時刻: 2005年10月 6日 21:47


コメント

こんにちは。
やっと、読みました。2週間予定が5日で読めました。
それだけ面白かった。
秀弥の器量を育てたものは周りの人たちですね。
深川の人たちにほろっときました。TBさせていただきます。
ゆこりんさんのBLOGでいい本に出合えました。
ありがとうございます。

投稿者 よし : 2005年4月30日 17:17

よしさん、( ^-^)ノ(* ^-^)ノこんばんわぁ♪
人情味のあるとっても感動的な本でしたよね。
こういう人間関係は、今の世の中ではなかなかできません。
それがちょっと寂しいです・・・。
私のBLOGが役に立って、とってもうれしいです(∩。∩;)ゞ

投稿者 ゆこリん : 2005年4月30日 18:52

ゆこりんさん☆おはようございます。
一力さんの作品って、いつもイイですよね。
この本に描かれているような人情って、やっぱり人間の基本なのかなって思います。
実際に門前仲町に住む一力さんの、町に対する愛情があふれるいい作品でした。

投稿者 Roko : 2005年5月 8日 08:59

Rokoさん、こんにちは~♪
私は「人情」は人の基本だと思います。ただ、今の世の中では
それはなかなか難しいですよね。「自分さえ良ければ」という
考え方の人が大半だと思います。私もその中の一人ですが。
山本さんの作品の中に出てくる人たちのような気持ちが持て
たらいいなとは思います。努力だけはしたいです(^^;

投稿者 ゆこリん : 2005年5月 8日 13:33

お薦めの作品、漸く読みました。
今まで読んだ氏の作品の中で一番大好きになりました。
まだ余韻が残っていて、ずっと浸っていたい気分です。
こんなに粋で人情味に溢れた人たちに囲まれて、凛とした生き方が出来たらなぁ、なんて思っちゃいますね。

投稿者 ざっきぃ : 2005年10月 6日 21:53

ざっきぃさん、ヾ(@⌒ー⌒@)ノおはよう
読まれたんですね~。山本さんの今まで読んだ作品の中で
一番好きというコメント、うれしいです。
オススメしたかいがありました(*^▽^*)山本さんの作品は
どれも心が温りますよね~♪
「人情」、今の時代には難しくなりました。だからこそ
山本さんの作品が光るのかもしれません(o^-^o)

投稿者 ゆこリん : 2005年10月 7日 08:11