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2005年1月16日

散る。アウト(盛田隆二)


順調に行っていたはずの人生。だが、先物取引に手を出したばかりに、気づいたときには自分にとって大切なものをすべて失ってしまっていた。ホームレスとなった耕平の前に現れたのは、偽装結婚の話を持ちかける尾形だった。彼の真意ははたして何か?

坂道を転げ落ちるように、どん底まで落ちた人生。借金取りから逃げ回る日々が、彼の心を荒ませていく。尾形の話に一縷の望みをかけて、耕平はモンゴルへ飛ぶ。だがそこに待ち受けていたのは、思いもよらぬ出来事だった。舞台はモンゴルからロシアへ・・・。息をもつかせぬ展開は、読む者を作品の中の世界へと引きずり込む。だが、そこで繰り広げられる出来事に、のめり込むほどではなかった。耕平とダワの関係も、もう少し掘り下げたものがほしかったと思う。読後も、何だか後味が悪かった。

ゆこりん : 20:46 | 作者別・・も他