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2004年12月26日

王妃の館(浅田次郎)


フランスの王ルイ14世が愛する女性のために建てた「王妃の館」。今では超高級ホテルになっているが、そこに日本からツアー客がやって来た。「光」ツアーと「影」ツアー。二組のツアー客は、ホテルの同じ部屋を交互に使うという旅行会社のたくらみをまったく知らなかった・・・。

さまざまな人生を抱えた人たちが集まって「王妃の館」にやって来た。ツアーコンダクターは、ばれないように四苦八苦。そこに複雑な人間関係が絡み合って・・・。作者お得意のパターンだ。たくさんの登場人物が個性豊かに描き分けられている。そして、少しずつどこかでつながっている。泣いたり、笑ったり、怒ったり、わめいたり。ドタバタ的な中にも、どこか人間の切なさを感じさせる。人が人としてどう生きていくのか、それはルイ14世の時代も今も、変わりはない。「太陽の恵みを享受するのではなく、ひとりひとりが自ら太陽になって光り輝け」この言葉がとても印象的だった。

ゆこりん : 11:52 | 作者別・・あさだじろう