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2004年12月11日

駅までの道をおしえて(伊集院静)


失われたものはもう二度と戻ってはこない。そのことをどうしても認めることの出来ない少女と老人。二つの心が触れ合ったとき、原っぱの中の線路を電車が走った・・・。表題作を含む8つの作品を収録。

過ぎ去った日々、逝ってしまった人。手を伸ばしても、もう二度と触れることは出来ない。人は時々自分の心の奥からそれらを取り出し、懐かしむだけだ。人それぞれに、それぞれの悲しみや喜びがある。作者はしっとりとそれらを描いている。読んでいて、切なくてたまらなくなる話もある。しかし、誰かを、何かを、想い続ける人たちの姿は、とてもまぶしかった。心に余韻が残る話ばかりだった。

ゆこりん : 19:58 | 作者別・・いじゅういんしずか