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2004年9月29日

国銅(帚木蓬生)


奈良の大仏建立。その大事業に遠く長門の国からも、国人を含め15人の男たちが都に向かった。何十日もかけてたどりついた都。そこで待っていた過酷な労働。国人は、詩を詠むことを日々の楽しみとして耐えていた。月日が流れ、ようやく待ち望んでいた国へ帰ることができる日が来たが・・・。

1200年以上も前、あの巨大な仏像を人の力だけで作り上げる。その労働がどんなに過酷だったことか!また、たとえ無事に労役を終えたとしても、国元にもどれる保障はどこにもない。国を離れて労役に就くということは、もう生きて国元に帰ることができないかもしれないということなのだ。何百人、何千人の男たちが作り上げた仏像。その体内には、男たちの様々な思いが、今も渦巻いているような気がする。巨大な仏像を、人々はどんな思いで見つめていたのだろうか?そこに見えるのは、悲しげな顔の人たちばかりに思える。

ゆこりん : 15:18 | コメント (2) | トラックバック (2) | 作者別・・ははきぎほうせい

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国銅〈上〉国銅〈下〉 帚木 蓬生 奈良の大仏建立のために、長門(今の山口県)から銅を採掘し精錬し棹銅とし奈良に運ばれた。 その堀場で働く人足国人は暗い... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2004年9月29日 15:49

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国銅〈上〉 他のサイトさんで見て、気になっていた本です。学生時代、美術史の仏像が専攻だったので、仏像を見るのは好きだし、作り方もだいたいのことはわかってい... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2004年12月 4日 22:26


コメント

ゆこりんさん TBありがとうございます。
私は奈良の大仏さまを見たことがないのですが、こんなに犠牲を払われて造られたと知ると、見ておかなければという気持ちになってしまいました。
絶対いつか行くぞ!!!
帚木さんは地味だけど、ところどころにじーんとくる言葉がでてきますよね。
読んでよかったという気持ちにさせてくれますね。

投稿者 なつぼん : 2004年9月29日 15:57

なつぼんさん、( ^-^)ノ(* ^-^)ノこんばんわぁ♪
私は修学旅行で一度見ただけです(^^;
でも今度見る時は、違った感情を持って見ると思います。
「国銅」の中にはたくさんの感動的な言葉がありました。
感想の中に書けなかったのは、ちょっと残念でした・・。
とても心に残る作品でした(*^o^*)

投稿者 ゆこりん : 2004年9月29日 20:39