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2004年9月14日

邂逅の森(熊谷達也)


「マタギ」としてずっと生きていくと思っていた富治。しかし、文枝との仲を、地主でもある文枝の父長兵衛に知られ、追われるように村を出て鉱夫に・・・。だが、「マタギ」としての血が騒ぎ、彼は再び山へ戻る決心をする。壮大な自然の中で繰り広げられる人間ドラマ。

「山には神様がいる。」
自然を崇め、自然と共存するように暮らす「マタギ」。アオシンと呼ばれるニホンカモシカや、熊を獲り、生活を営んでいる。その狩猟の様子は圧巻だ。狩猟は、命のやり取りだ。人と動物の闘いだ。富治や、富治を支えるイクの人生もまた、一つの闘いだった。闘いの果てに待っているものは何だろう?富治を待っているのは、イクの笑顔ではないだろうか。読み応え十分の作品だった。

ゆこりん : 15:21 | 作者別・・く