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2004年9月11日

孤独か、それに等しいもの(大崎善生)


双子の藍と茜。姿も、することも、何もかも一緒。しかし、茜が怪我をして傷跡が残ったときから、二人は少しずつ違う道を歩き始めた。そして・・・。表題作を含む5編を収録。

「孤独を感じたことがないという孤独」
これほど心を凍えさせる言葉はない。人は寂しがりやの生き物だ。孤独のままでは生きられない。傷つかず、傷つけられずに一人で生きていくよりも、傷つけあいながらでも、二人で生きていく道を選ぶこともある。作者は心傷つく者たちを温かな目でとらえ、描いている。読後、心が穏やかになっていくような作品だった。

ゆこりん : 15:17 | 作者別・・おおさきよしお