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2004年7月 5日
新選組遺聞(子母澤寛)
新選組という集団の中で、個々の人間は何を思い、どう行動したのか?新選組に関わった人たちの貴重な証言を集め、作者はまとめていった。彼らの素顔も分かる、貴重な記録。
実際に新選組を目の当たりにした者にしか分からない描写が、ここにはある。芹沢鴨の暗殺当夜の様子、その後の処理。池田屋事件、そして近藤勇の最期。墓から遺体を掘り出し故郷へ運ぶさまは、悲壮感が漂う。つかの間の華やかさ。それと対照的な末路。これがわずか百数十年前の出来事なのだ。残された家族などのその後も興味深かった。どんな境遇になっても、家族は決して新選組のことを忘れることはなかったと思う。家族としての悲劇が、そこにはあったのではないだろうか。