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2004年7月 3日

臨場(横山秀夫)


事故か事件か?人の「死」には、さまざまな理由がある。人から「終身検視官」と言われる倉石の鋭い目が、現場の状況の中に隠された真実を暴いていく。8つの短編を収録。

うっかりすると見逃してしまいそうな些細なことの中に、大きな真実が隠されていることがある。倉石の鋭い観察力は絶対にそれを見逃さない。人の心の奥底に潜むものさえも、時には見抜いてしまう。事件や事故を機械的に処理するのではない。そこには温かな心遣いが感じられる。そこが倉石の魅力となっている。倉石はこれから先もずっと検視官を続けていけるのだろうか?ラストの描写が気にかかる。

ゆこりん : 10:04 | 作者別・・よこやまひでお