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2004年6月27日

月神(ダイアナ)の浅き夢(柴田よしき)


刑事が残虐な方法で次々に殺されていく。被害者に共通するものは何か?緑子は合同捜査本部付けを正式に任命され、坂上とともに事件の捜査に乗り出す。その結果、殺された5人のうち3人に共通するものが見つかるが・・・。RIKOシリーズ3作目。

過去の憎しみや悲しみが、何倍にもなって現在にうごめいている。人は決して癒えることのない心の傷を抱えていると、思いもよらぬ行動を起こすときがある。もう戻れないおだやかな生活。どこで道を間違ってしまったのか?誰が自分の道を変えてしまったのか?そういう思いの中から、犯罪が生まれた。犯罪の裏に隠された人の心に触れたとき、緑子は苦悩する。彼女のその思いが、読んでいる者の心を強く揺さぶる。緑子はこれからも、人の心を思いやれる刑事であり続けるのだろう。それが彼女にとって一番ふさわしい生き方のような気がする。

ゆこりん : 15:33 | 作者別・・しばたよしき