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2004年6月24日

聖母(マドンナ)の深き淵(柴田よしき)


4年前の乳児誘拐事件。殺された主婦。覚醒剤。元刑事の探偵。そして、悪魔のようなヤクザ。これらはどう結びつくのか?緑子がたどりついた真相とは?RIKOシリーズ2作目の作品。

まるで精密な設計図から精密な機械を作るように、組み立てられている。この作品を読んでそう感じた。一つ一つの出来事が、読む進めていくうちに、収まるところに収まっていく。読者はどんどん作品の中に引きずり込まれていく。警察官、母、女、さまざまな顔を見せながら奔走する緑子の姿は美しい。彼女は自分の弱さを知っている。知っているからこそ逆に強くなれる。この作品の根底に流れるのは「愛」にほかならない。人は愛するものを守るためには、どんなことも厭わない。だが時には、それは悲劇を生む。事件が解決しても、それが決して人を救うことにはならない。ラストの描写の切なさが胸に残った。

ゆこりん : 15:30 | 作者別・・しばたよしき