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2004年6月10日

RIKOー女神の永遠ー(柴田よしき)


ポルノビデオ販売店一斉摘発で押収されたビデオの中に、犯罪の記録を思わせる1本のビデオテープが見つかった。残虐な輪姦シーン。被害者は女性ではなく、若い男性だった。捜査を進めていた緑子は、本庁とのチームに加わるように言われるが、本庁の人間との間にはつらい過去があった。

本来この手の話は苦手。だが好きとか嫌いとかそんなことを考える余裕などなかった。緑子の行っていることが正しいとか正しくないとか、そういうことも読んでいるうちにどこかへ吹き飛んでしまった。ただそこにあるのは、自分自身に正直であり続ける一人の女性。そして、どんなことがあっても真実を追究しようとする、したたかなまでの警部補としての姿。柴田よしきの描く世界はめまいがしそうなほどだ。だが、ぞくぞくするほどの面白さもある。テンポがよく、一気に読めた。強烈な印象の作品だった。

ゆこりん : 14:50 | 作者別・・しばたよしき