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2004年6月 8日
輪違屋糸里(浅田次郎)
新選組。男たちが命がけで時代の流れの中を駆け抜けてゆく陰には、さまざまな女たちの悲哀があった。彼女たちもまた、時代のはざまの中で、命がけで守ろうとしたものがあった。芹沢鴨暗殺の前後を、今までとはまったく別の視点から描いた作品。
男に守らねばならないものがあるように、女にも守らねばならないものがある。ともすれば時代の流れに飲み込まれそうになりながら、彼女たちは自分の命さえ懸けてそれを守り抜こうとする。新選組を違う角度からとらえ、違う解釈で描いた点はとても興味深かった。しかし様々なものを詰め込みすぎていて、的が絞り切られていないという散漫な印象が残る。ラストも何となく想像できてしまう感じだった。糸里についての描写も少ない。本の題名は、糸里のことを中心に書くという意味ではなく、何かの象徴ということなのだろう。
ゆこりん : 15:01 | 作者別・・あさだじろう