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2004年6月 3日

看守眼(横山秀夫)


「死体なき殺人事件」・・。容疑者として取り調べられた山野井は、一貫して無罪を主張した。そして釈放。だが、山野井の行動に不信を抱く人物がいた。長年看守をしていた近藤は、この事件の裏にある真実を探り始めていた。表題作を含む6作品を収録。

人の心理を描いたもので、どれも面白かった。なかでも「看守眼」は特に面白かった。何気ないしぐさの中に、他の人が気づかなかった何かを感じ取る。それは長い間に培われた職業的な勘なのだが、そこから真実が見えてくる。人の心に潜むものは、知らず知らずのうちに行動となって現れてくるものなのだ。作者はそれを鋭く描いている。どの作品も、読者をのめりこませる魅力があった。楽しめる1冊だ。

ゆこりん : 14:23 | 作者別・・よこやまひでお