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2004年5月20日

走るジイサン(池永陽)


頭の上に猿がいる!しかも自分にしか見えない・・。「おめえはいったい何者だ。」作次は猿に話しかける。老人たちをとりまく、さまざまな問題を見つめた作品。

「年寄りは年寄りらしく」この言葉がどれほど高齢者を苦しめているのだろう。彼らの、人として生きる権利をも奪ってしまいかねない。年をとっても、人を愛したり人から愛されたいと思う気持ちは、決して衰えないと思う。また、「じゃまにされたくない」、「誰かの役に立ちたい」そう願ってもいるはずだ。そういう気持ちを、私たちはもっと大切にしてあげるべきなのかもしれない。頭に猿をのせて走る作次の姿を想像した時、おかしさよりも、耐え難い切なさを感じた。

ゆこりん : 20:52 | 作者別・・いけながよう