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2004年4月16日

卒業(重松清)


「自分が生まれる前に自殺した、父のことが知りたい。」
渡辺のもとに、かつて親友だった男の娘が尋ねてくる。14歳の亜弥に渡辺は少しずつ、親友と過ごした日々の思い出を語り始めるが・・・。表題作を含む4つの短編を収録。

この本には「卒業」のほかに、死にゆく母のかたわらで、妹と二人で過去をたどる「まゆみのマーチ」、最期の時を自宅で迎えたいという父の願いを受け入れ、在宅医療に踏み切る「あおげば尊し」、実の母の思い出と義理の母への思いを綴った「追伸」という作品が収められています。どの作品にも、人の人に対する思いがあふれています。読んでいて思わず涙がこぼれました。人が生きていくということは、どんなつらいことにも向き合わなければならないということです。しかし自分を理解し、愛してくれる者がいたら、そのつらさに人は耐えていけるし、乗り越えていけると思います。作者は真正面から、そのことをしっかりと描いています。親子の話として、兄弟の話として、そして夫婦の話として。人が人に思いを伝える時、複雑な言葉はいりません。ただ一言、相手に「好き」と言うだけでいいのです。その一言があれば、人は前向きに生きていくことが出来るのではないでしょうか。つらい過去を卒業し、新たな未来へ一歩を踏み出せるのではないでしょうか。

ゆこりん : 10:57 | コメント (8) | トラックバック (8) | 作者別・・しげまつきよし

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トラックバック時刻: 2006年1月28日 17:35


コメント

おはようございます。
やっと、「卒業」読み終えました。
ふーっていう感じです。
入り込みすぎて何度も泣いて、体力使い果たしました。

現時点での今年のマイベスト1です。
TBさせてもらいました。

投稿者 よし : 2005年2月20日 09:11

よしさん、おはようございます。
私も泣かされました。ティッシュが何枚必要だったことか・・・。
この作品昨年読んだのだけれど、昨年のベスト1でした♪
私の方もTBさせてもらいましたm(_ _"m)

投稿者 ゆこりん : 2005年2月20日 10:59

ゆこりんさん、こんばんは!
重松作品はこれが2冊目だったのですが、
1冊目『流星ワゴン』に続き、こちらも涙涙でした。
胸に響く素晴らしい作品でした。
ちょっと苦しいけれども折に触れ再読したくなりますね。
こちらからもTBさせていただきますね。

投稿者 リサ : 2005年8月12日 21:21

リサさん、おはようございます。
この本も泣けますよね。
絶対に人前では読めない本です(^^;
こういう本には弱いです。
私の五つ星♪たくさんの人に読んでもらいたいわ♪

投稿者 ゆこリん : 2005年8月13日 07:08

流星ワゴンが舞台化されてるのって知ってました?
劇団銅鑼というところが今やってるそうです。
すごく良かったと観にいった友人が言ってました。

投稿者 TOSHI : 2006年1月30日 22:15

>TOSHIさん
おはようございます。
舞台化ですか!ちょっと興味があります。
でも田舎なので見に行ける環境ではないのが
残念です(><)

投稿者 ゆこりん Author Profile Page : 2006年1月31日 09:07

近頃、トシのせいか涙腺がゆるいんです。
ゆこりんさんの五つ星はどれもホントに面白いです。
最近、自分の親とあまり話をしなくなってました。
もっと、たくさん話をしておこうと思います。
僕もこれは五つ星です。

投稿者 Groovy Catの飼い主 : 2007年4月 9日 18:45

>Groovy Catの飼い主さん
( ^-^)ノ(* ^-^)ノこんばんわぁ♪
私もこの作品は号泣でした(^^;
私も五つ星~♪
ナカマ♪((o(*^∇^)X(^∇^*)o)) ナカマ♪
親はいつまでも生きているわけではないので、
なるべくたくさん話をしてください♪
中学3年の時に父親を亡くしているので、
すごくそう思います。

投稿者 ゆこりん Author Profile Page : 2007年4月 9日 20:09