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2004年4月10日

海峡の光(辻仁成)


青函連絡船の勤務を辞め、函館の少年刑務所の看守になった斉藤の前に、かつての同級生が受刑者のひとりとなって現れた。花井修。彼は、斉藤に対するいじめの首謀者だった。

花井が現れた時から、斉藤の心の中は花井のことで占められるようになった。いじめほど残酷なものはない。いじめられた子供の心の中には、癒やすことの出来ない傷が残る。斉藤は花井におびえ続けていた。自分の方が優位な立場なのだと自分自身に言い聞かせようとしても、不安が押し寄せてくる。小学生の頃から、花井と斉藤の立場はずっと変わることがなかったのではないだろうか。それは、看守と受刑者という間柄になっても・・。斉藤はこれからもずっと、函館の街から、そして花井の存在から、抜け出せずにもがき続けるのか?連絡船のように、心の「海峡」を渡ることは、はたしてあるのだろうか。

ゆこりん : 08:19 | コメント (2) | トラックバック (2) | 作者別・・つじひとなり

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辻仁成『海峡の光』(新潮社 2000) 評価:★★☆☆☆ 芥川賞受賞作です。 相変わらず僕は芥川賞とは相性が悪いみたいです。 純文学的... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2006年4月 9日 16:53

» 海峡の光 辻仁成 from 苗坊の読書日記
海峡の光 小学生時代にいじめられていた斎藤。 今は看守として、函館の裁判所で働いている。 そこへ、実刑者として、かつてのいじめの主犯だった花井修がや... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2006年7月 3日 12:58


コメント

こんにちは^^TBさせていただきますね。
この本は、高校のとき、国語の問題集に出てた本なんです。
なので、気になって手に取りました。
この作品、芥川賞作品なんですね~
知らなかったです。
面白いっていう感じではなかったですけど、考えさせられたと言うか、看守って大変なんだろうな~
って考えながら読んでいました。

投稿者 苗坊 : 2006年7月 3日 13:00

>苗坊さん
留守にしていて返事が遅くなりました。
高校のときの問題集に出ていたんですか!
私も、面白いというより考えさせられることの
ほうが多かったです。

投稿者 ゆこりん Author Profile Page : 2006年7月11日 23:47