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2004年4月 9日

スメル男(原田宗典)


ある日突然、無臭覚症になってしまった武留。自分ではまったく臭いを感じない・・・。そんな彼に異変が起きる。東京中が大騒ぎになるほどの悪臭が、彼の体から漂い始めたのだ。原因は?そしてその臭いを追い求める男たちの目的は?

自分ではその臭いを感じることが出来ないから、周りの人間がどれほどその臭いで迷惑しているのか分からない。悪臭の原因である本人はとまどうばかり。そこへ現れたのは、その臭いを利用しようとする不審な男たち。そしてその武留を助けようとしたのは、天才と呼ばれる少年たち。テンポよく話が進む。しかし、決して喜劇的な話ではない。そこに登場する人物一人一人を見ると、何だか悲哀感さえ漂う。みんなそれぞれの立場で、必死に生きようとしている。それが分かるからこそ、読んでいくと気持ちが切なくなる。悲喜劇てんこ盛り。そんな印象だった。

ゆこりん : 08:14 | 作者別・・は他