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2004年3月13日
川の深さは(福井晴敏)
元警官だった桃山が警備するビルに、若い男女が逃げ込んできた。保と葵。彼らの握っているある秘密を追い、動いている組織は?そして保と葵の目的は?日本という国の闇の部分が見えたとき、桃山もまた、事件の渦中に巻き込まれていった・・・。
どんなに激しい戦闘シーンが描かれていても、この作品の根底に流れるものは、人間の人間に対する愛だ。不器用な生き方しかできない桃山だが、ありのままの自分をさらけ出し、相手の閉ざされた心を開くことができた。命の大切さを叫ぶ姿にも、胸を打たれる。人は、自分が無力だと分かっていても、あえて困難に立ち向かって行かなければならないときがある。愛する人のために・・・。保の思いが、保と関わった全ての人の心に届きますように。葵も、これからの人生を強く生きていけますように。
「どんなに汚されていても、流れ続ける川には未来がある。」
とても印象的な言葉だった。
ゆこりん : 00:00 | 作者別・・ふくいはるとし