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2004年2月28日

蛇にピアス(金原ひとみ)


スプリットタンと呼ばれる先が二つに分かれた舌を持つアマ。彼の「君も、身体改造をしてみない?」の言葉に、ルイは舌にピアスの穴を開け、背中には刺青を彫る。ある日、アマが連絡も寄こさずに突然いなくなった・・・。

今までにない感触の作品だった。読んでいて気分が悪くなるようなところもあった。だが、決してそれだけの内容ではない。したたかそうに見えて、実は繊細な神経を持っているルイ。今を生きる若者の姿が、そこには象徴されていると思う。自分を傷つけ、痛みを感じることで、生きる実感を味わう。ピアスをし、刺青を彫ることで、自分らしさを主張する。そうしなければ、いつか自分を見失っていくのではないかという不安を抱えて生きているような気がする。「作品の中に、作者の思いが1本の筋となってしっかり入っている。」そう感じる作品だった。

ゆこりん : 15:34 | 作者別・・か他