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2004年1月26日

終戦のローレライ(福井晴敏)

負け方を知らなかった日本。破滅の道へと落ちてい国家を救えるのか?太平洋の「魔女」と呼ばれた、秘密兵器ローレライ。彼女は何のために歌うのか?戦いの狂気の中、人が人であるためには、いったい何をなすべきなのか?感動の長編作。

泣けた。とにかく泣けた。戦争は悲惨だ。生きることの意味も、死ぬことの意味も分からぬまま、次々に消えていく命。大切なものを守るために、男たちは戦う。自分たちの思いが未来につながるという希望を胸に、男たちは戦う。何のために始めた戦争なのか?止めることは出来なかったのか?様々な思いが胸をよぎる。多くの犠牲により守られた日本という国家。果たして今の日本は、その数々の犠牲になった命に対し、恥ずかしくない国家だと言えるのか。そう思ったとき、涙があふれた。いつの世も無くならない戦争。これだけ戦争を繰り返しても、まだ足りないというのだろうか。改めて「平和」という言葉の、重さを感じた。

ゆこりん : 13:00 | 作者別・・ふくいはるとし