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2004年1月18日

深紅(野沢尚)


一家惨殺。修学旅行に行っていて、かろうじて難を逃れた秋葉奏子。しかし彼女の心には、癒すことの出来ない深い傷が残る。父母や、幼い弟二人を殺した犯人。憎んでも憎みきれないその犯人に、奏子は自分と同じ年の、未歩という娘がいることを知る。正体を隠し、奏子はその娘に近づき友達になるが。

「自分だけが助かった。」その事実は決して奏子を喜ばせはしない。なぜ自分だけが助かったのか?なぜ自分も死ななかったのか?被害者の家族なのに罪悪感が残ってしまう。死んだ家族のことを考えると、心の底から笑えない。その思いは家族を突然失った者にしか分からないだろう。笑うことに後ろめたささえ覚えるのだ。奏子は未歩を憎んだ。しかし、未歩の苦しみも理解できた。理解できたからこそ、未歩を最後まで追い詰めることができなかったのだろう。犯罪は、周りの人全てを不幸にする。決して犯してはならないのだ。

ゆこりん : 15:42 | 作者別・・のざわひさし