« 鳥人計画(東野圭吾) | メイン | カカシの夏休み(重松清) »

2003年12月 9日

風紋(乃南アサ)


ある平凡な主婦が殺された。だがその事件は波紋となり広がって、次々に関わりのある人たちの運命を変えていく。この事件により運命を変えられた者たちの行き着く先は、果たしてどこなのだろうか?読みごたえのある問題作。

平凡に暮らしていた主婦が殺された。加害者は意外な人物。それだけでも残された家族の受ける衝撃は計り知れないのに、さらに投げかけられる心無い言葉。まるで殺される方が悪いと言わんばかりの中傷。次々に暴かれる被害者家族の暗部。被害者の家族の心の傷がどんどん大きくなっていくのは見るに耐えない。しかし、加害者の家族にとっても悲劇だ。平凡な家庭が崩れ去り、夫が逮捕されたその日から、「殺人犯の妻」「殺人犯の子供」として生きていかなければならない。ひとつの事件がいかに多くの人を傷つけるか・・・。どんな理由があるにせよ、人は絶対に罪を犯してはいけないのだ。

ゆこりん : 21:12 | 作者別・・のなみあさ