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2003年12月11日

カカシの夏休み(重松清)


人には決して忘れられない場所や思い出がある。故郷を離れ、それぞれ生活に追われる日々を送るかつての級友たち。しかし彼らは、思い出がいっぱい残る故郷、日羽山の風景を忘れることが出来なかった・・。表題作を含む3つの短編を収録。

仕事、不況、家族、親子、いじめ、自殺・・など、今の世の中が抱える問題を、作者は独自の視点で描いている。しかし、あまりにも問題が身近すぎるせいか、つらい。とにかく読むのがつらかった。まるで、傷口をごしごしとこすられているような痛みさえおぼえる。逃げてはいけない、目をそらしてはいけないことなのだけれど、耐えられなかった。この作品に登場する人たちが、せめて少しでもいいから「幸せだな。」と感じられるようになればいいと思う。

ゆこりん : 07:48 | 作者別・・しげまつきよし