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2003年11月20日
生きる(乙川優三郎)
藩主が死んだ。又右衛門は家老の命により追腹を禁じられる。密約により藩主亡き後も生きていくことになった彼だが、世間の目は冷たく、娘婿、息子が切腹し、彼は孤立していく。生きることも死ぬことも出来ずに彼は苦悩するが・・・。表題作を含む3つの短編を収録。
時代物が苦手な私だが、そういう私でも抵抗なく読める作品。時代物ということを意識させないところに、作者の独特のスタイルがあるのではないだろうか。「人は何のために生きるのか。」この本は読む人にそう問いかけてくる。どんなにつらくても自分の人生を全うしなければならない。それはどんな時代においても同じことだ。「生きる」このたった3文字の言葉が秘めている意味は大きく、そして深い。