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2003年11月16日

天国への階段(白川道)


経営する牧場をだまし取られ、失意のうちに死んだ父。
そして愛する亜木子の裏切りの行為。圭一は憎しみだけを胸に、
故郷を飛び出す。そして、東京で成功した彼は復讐を果たそうと
するが・・・。


人それぞれの思い。その思いがうまくかみ合わないとき、悲劇が起こる。
人はなぜ人を傷つけながらではないと生きていけないのか。傷つけられたと
思って生きてきた圭一も、自分の気づかないところで、多くの人を傷つけて
いたことを思い知る。亜木子への憎しみも、亜木子を忘れずにずっと愛し続けて
いきたいと思う気持ちの、裏返しに過ぎなかった。そのことに気づいた圭一の
最後に取った行動は、読む人の胸を打つ。とても読み応えのある作品だった。

ゆこりん : 08:05