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2003年10月20日

繋がれた明日(真保裕一)


中道隆太。彼は殺人を犯し懲役7年の刑を言い渡される。仮釈放となり刑務所を出た彼はまじめに働こうとするが、思わぬ災難が降りかかる。罪、罰、償い・・・。様々な重いテーマを抱えた作品。

人の罪は、懲役刑に服したからといって簡単に許されるものではないのか?まじめに働こうとしても、罪を犯した過去は執拗にまとわりついてくる。被害者の家族も、そして加害者の家族も、言葉には言い表せないほどの苦しみを背負って生きていかなければならない。「殺される側にも非があった。」最初そう考えていた隆太だったが、「殺される」ということを身をもって知ったとき、初めて罪の重さに気づく。人はどんな場合でも、やってはいけないことがある。それを知った彼を、はたして周りは温かく迎え入れてくれるのだろうか?また、自分なら迎え入れることができるのか?読んだあと、様々な思いが胸の中に渦巻いていた。

ゆこりん : 08:33 | 作者別・・しんぽゆういち