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2003年7月 3日

第三の時効(横山秀夫)


事件から15年後の第一の時効、台湾に渡航していた七日間を加算した第二の時効。逃亡している犯人は、第二の時効成立を待っていた。しかしそこには隠された第三の時効があった・・。表題作を含む6つの短編を収録。

どの短編も警察にかかわりのある話だ。その中でも表題作「第三の時効」は面白い。こんな時効があるなんて思いもよらなかった。ラストも、予想もしないものだった。最後に収められている「モノクロームの反転」も、人の視覚や心理を扱った作品で、こちらも面白かった。「犯罪ドラマ」というよりも、それを解決しようとする「人間たちのドラマ」といったほうがいいかもしれない。手柄を立てようと必死になる姿は、まるで戦国時代の武将のような気さえする。犯罪捜査は、まさに戦いなのだ。

ゆこりん : 10:55 | 作者別・・よこやまひでお