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2003年6月19日
永遠の出口(森絵都)
「永遠」という言葉にめっぽう弱い少女紀子。この一人の少女が成長していく過程を瑞々しく、そしてさわやかに描いた、いつまでも心に残る作品。
誰もが少女の頃、紀子のような経験をしているのではないだろうか。親友、異性、親、級友、先生など、様々な人との関わりの中、笑ったり、怒ったり、泣いたり、悩んだりしながら、少女は大人になっていく。少女時代のきらめくような日々。そんな日がこのままずっと続くのではないかとさえ思える。だが、いつかは必ず終わりが来る。「永遠」ということは絶対にありえないのだ。「永遠の出口」にたどりついた時、少女はもう少女ではいられない。大人への階段を上る自分に気づいてしまう。紀子・・。彼女の向こうに、少女時代の自分が見えるような気がした。