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2003年6月10日

将棋の子(大崎善生)


奨励会、そこは日本将棋連盟の組織の一つで、棋士になるための修行の場である。全国各地から棋士をめざし、ここに集まる若者たち。しかしそこは、弱肉強食の過酷な場所でもあった。

全国からプロ棋士をめざし集まる少年たち。彼らは、地方では天才と呼ばれた少年たちだ。しかし、奨励会という天才集団に入ってしまうと、もはや天才少年ではなくなってしまう。将棋棋士をめざす普通の少年になってしまうのだ。彼らには、ある年齢になるまでに一定の段位を取らなければならないという、過酷な条件がつけられる。その条件をクリアしなければ、退会するしか道はない。過酷な競争に敗れ、無念のうちに奨励会を去った者たちのその後の物語は、読む人の心を切なくさせる。プロになるということがどんなに厳しいものか、華やかな表面からは、決して見えないものなのだ。

ゆこりん : 14:17 | 作者別・・おおさきよしお