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2003年4月17日

眠れぬ夜を抱いて(野沢尚)


夫が開発を手がけたリゾート型住宅。そこに引っ越してきたとき、悠子は1週間前に引っ越してきたという二家族と知り合いになる。親しくつき合いを始めたのだが、前後してその二家族とも突然失踪する。なぜ?調べていくうちに、二家族の共通点が見えて来た。そしてそこには自分の夫の影も。真相が明らかになるにつれ、夫の過去もしだいに明らかになっていった・・・。

相次いで二家族が忽然と姿を消すという、前代未聞のできごと。その謎を探ろうとする悠子は、しだいに夫の過去にも近づくことになる。自分の知らない夫の秘密。はたして妻として知ったほうがいいのか、知らないままのほうがいいのか?悠子は全てを知った上で、夫の過去の姿も今の姿もひっくるめて愛そうとした。そういうひたむきな愛が、夫を過去の呪縛から解き放ったのかもしれない。愛は時には感動的だが、時には憎悪を生む引き金にもなる。その憎悪を消し去るのも、また愛なのだが。面白いしテンポがよく、最後まで一気に読んでしまった。

ゆこりん : 15:05 | 作者別・・のざわひさし